「締切は12月15日でしょう。仕込みが落ち着く11月の終わりに書けば間に合いますよ」
パン屋の店主さんから、そう聞いたことがあります。
けれど12月2日に商工会議所へ電話して、こう言われることになります。
「申し訳ありません、その書類の受付は12月4日までなのですが、面談の枠がもう埋まっておりまして」
小規模事業者持続化補助金には、申請締切の11日前に、もう一つの締切があります。 商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」の発行受付締切です。公募要領には、この締切を過ぎた依頼は「いかなる理由があってもできません」と書かれています。
この記事では、第20回の日程とこの様式4という書類のこと、そして大分ではどこに頼めばよいのかを整理します。
あわせて、ホームページを作りたい方が引っかかりやすい経費のルールもお伝えします。

小規模事業者持続化補助金 第20回の概要
まず全体像からです。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓(新しいお客様を増やす取り組み)や業務効率化に使う経費の一部を補助する制度です。
チラシ、ホームページ、機械の購入、展示会への出展などが対象になります。
日程 ― 本当に気をつけるのは12月4日
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
| 採択結果の公表 | 2027年3月頃(予定) |
| 補助事業の実施期限 | 2028年3月31日(金) |
事務局は「予定は変更する場合があります」と注記していますので、最終的にはご自身で公式サイトをご確認ください。
なお第21回以降の予定について、公募要領には「第20回公募申請受付締切以降に追ってご案内します」とあり、現時点では未定です。
今回を逃すと次がいつになるかは分かりません。
補助額は「基本50万円」です
ここで一つ、誤解の多い点をお伝えします。
「持続化補助金は250万円もらえる」という説明を見かけますが、正確ではありません。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 補助上限(基本) | 50万円 |
| インボイス特例を満たす場合 | +50万円 |
| 賃金引上げ特例を満たす場合 | +150万円 |
| 両方の特例を満たす場合 | +200万円 |
補助率は3分の2です(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3)。
つまり基本は50万円で、両方の特例を満たしてはじめて 50万円+200万円=250万円になります。
公募要領に「250万円」という合計額の記載はなく、この表から計算した値です。
しかも特例には「補助事業終了時点で一定要件を満たす必要があり、満たさない場合、補助金交付は行いません」という条件が付きます。
最初から250万円を前提に計画を立てるのは危険です。
インボイス特例は、補助事業の終了時点で適格請求書発行事業者(インボイスを発行できる事業者)であることなどが条件です。
賃金引上げ特例は、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増やすことが条件になります。
本当の締切は12月4日 ―「様式4」とは何か
ここからが本題です。
商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」
この補助金は、事業者が一人で申請できる制度ではありません。
公募要領は「商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること」を要件にしています。
その支援を受けたことの証明が、事業支援計画書(様式4)です。
発行するのは地域の商工会または商工会議所で、事業者が自分で書くものではありません。
この書類がないと、そもそも申請を完了できない構造になっています。
「いかなる理由があってもできません」
公募要領には、こう書かれています。
事業支援計画書(様式4)について、受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません。
また、補助対象者の要件を満たしていないと判断される場合も発行はできません。
12月4日を過ぎたら、どんな事情があっても申請できないということです。
体調を崩していた、本業が忙しかった、といった理由は通りません。
ここが、この補助金で最も人が落ちるところです。
申請の流れ
順序を整理します。
- GビズIDプライム(行政の電子申請で使う共通のID)のアカウントを取得する
- 電子申請システムで経営計画などを入力する
- 地域の商工会・商工会議所へ様式4の発行を依頼する
- 様式4の発行を受ける
- 申請を完了する
申請は電子申請システムでのみ受け付けられ、郵送での申請は一切受け付けません。
GビズIDプライムのアカウント取得には数週間程度かかる場合があると公募要領に記載があります。
11月5日の受付開始を待ってから動き始めるのでは、間に合わない可能性があります。
大分ではどこに様式4を頼むのか

大分県で申請する方に、特に知っておいていただきたいことがあります。
商工会議所の地区と、商工会の地区が混在しています
大分市のように商工会議所がある地域と、町村部のように商工会が担当する地域があります。
自分の事業所がどちらの地区かによって、依頼先が変わります。
大分市内であれば大分商工会議所、町村部であれば地域の商工会が窓口です。
商工会の地区では「面談」が明記されています
公募要領を読むと、地区によって手続きの書き方が違います。
| 地区 | 公募要領の記載 |
|---|---|
| 商工会 | 電子申請システム内にて地域の商工会へ発行依頼を行い、商工会の窓口へ行って発行を受けてください(発行のために面談を行います) |
| 商工会議所 | 地域の商工会議所へ発行依頼を行い、事業支援計画書(様式4)の発行を受けてください |
商工会の地区では面談が明記されています。
面談の枠を取れるかどうかが、実質的な締切になります。
12月に入ってから連絡しても枠が残っていない可能性があります。
商工会議所の地区には面談の明記がありませんが、公募要領には別の箇所に「事業支援計画書(様式4)を発行するにあたり、基本情報入力画面に記載の代表者に計画等の内容について、直接確認する場合があります」とあります。
いずれにせよ、書類を送って終わりにはなりません。
なお公募要領には「開設時間はお近くの商工会・商工会議所にご確認ください。また、訪問時には事前にご連絡をお願いします」とも書かれています。
大分商工会議所や各商工会での具体的な運用(面談の要否、予約の方法、発行までの日数)は公表されていませんので、まず窓口に電話して確認するところから始めてください。
会員でなくても発行してもらえます
「商工会議所の会員ではないから、自分には関係ない」と思っている方がいらっしゃいます。
これは誤解です。
第19回のFAQには、非会員でも様式4を書いてもらえるかという質問に対し「会員、非会員に関わらず対応いたします」と明記されています。
あわせて「この様式4の提出は必須ですので、必ず、商工会・商工会議所にご相談ください」とも書かれています。
何に使えるのか ― ホームページを作りたい方は要注意

対象になる経費は8つの区分に分かれています。
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費です。
このうち2つの区分にだけ、特別な制限がかかっています。
広報費とウェブサイト関連費は30万円が上限
公募要領は、広報費とウェブサイト関連費のそれぞれについてまったく同じ文言でこう定めています。
当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。
補助上限が50万円でも、ホームページに使えるのは30万円まで、チラシなどの広報費も30万円まで、ということです。
この2つの区分「だけ」では申請できません
さらに重要な制限があります。
公募要領には、広報費とウェブサイト関連費のそれぞれに「○○のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と書かれています。
「ホームページを作りたいから持続化補助金を使おう」という計画は、そのままでは成り立ちません。
たとえば美容室であれば、予約システムとサイトの刷新(ウェブサイト関連費)に、シャンプー台の更新(機械装置等費)を組み合わせる、といった設計が必要になります。
対象外になるもの
ウェブサイト関連費では、次のようなものが対象外とされています。
Web制作の現場でよく出てくるものばかりです。
- ウェブサイトやシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用
- すでに導入しているソフトウェアの更新料
- 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ
- 効果や作業内容が明確でないウェブサイトのSEO対策
- ウェブサイトに掲載する商品・サービスを販売するための画像や動画の作成費用
- ウェブサイトに使用する画像等における被写体や商品の購入費用
「サイトは作ったが補助事業期間内に公開しなかった」というケースが対象外になる点は、特にご注意ください。
もう一つ、見落とされやすい決まりがあります。
ウェブサイトやシステムを50万円(税抜き)以上の費用で作成・更新する場合、それは「処分制限財産」に該当します。
補助事業が終わった後も、勝手に処分(廃止や譲渡)できない財産として扱われるということです。
サイトを数年で作り直す予定がある場合は、この点も踏まえて計画してください。
どの経費をどう組み合わせるかは、採択されるかどうかにも、使い勝手にも効いてきます。
設計の段階で迷われたら、お気軽にご相談ください。
創業して間もない方は「創業型」も見てください
同じ持続化補助金に、創業型という別の枠があります。
第4回が一般型 第20回と同じ日程で公募されています。
| 項目 | 創業型 第4回 | 一般型 第20回 |
|---|---|---|
| 補助上限 | 200万円 | 50万円 |
| 補助率 | 2/3 | 2/3 |
| 申請受付 | 2026年11月5日〜12月15日 | 同じ |
| 様式4の発行受付締切 | 2026年12月4日 | 同じ |
創業型の上限は200万円と大きいのですが、条件があります。
市区町村などが行う「特定創業支援等事業」による支援を受けていること、そして支援を受けた日と開業日の両方が、受付締切から過去1年の期間内にあることです。
第4回では2025年12月15日から2026年12月15日までが対象期間になります。
大分市であれば、市が特定創業支援等事業の証明書を交付しています。
この証明書については大分市の創業補助金、工事を発注する前に申請してくださいで詳しく解説しています。
なお創業型と一般型は、同時に申請できません。
どちらで出すかを先に決める必要があります。
開業日と支援を受けた日がどちらも対象期間に入るなら創業型、外れるなら一般型、という判断になります。
11月のうちにやっておくこと
最後に、具体的な進め方をまとめます。
- GビズIDプライムを取得する ― 数週間かかる場合があります。まだお持ちでなければ、今日から動いてください
- 経営計画を書く ― 審査の中心になる書類です。何を売り、誰に届け、どう売上につなげるかを書きます
- 商工会・商工会議所に連絡し、相談の予約を入れる ― 11月のうちに。訪問時は事前連絡が必要です
- 様式4の発行を受ける ― 12月4日まで。商工会の地区では面談があります
- 電子申請システムで申請を完了する ― 12月15日17:00まで
採択率の目安もお伝えしておきます。
直近3回では、第17回が約51.1%、第18回が約48.1%、第19回が約47.2%でした。
ただしこれらは公式発表に採択率の記載がなく、公表された申請件数と採択件数から計算した値です。
2件に1件は通らない、という程度の目安としてお考えください。
まとめ
- 申請締切は12月15日ですが、様式4の発行受付締切は12月4日です。 過ぎたら、いかなる理由があっても申請できません
- 補助上限の基本は50万円です。250万円は2つの特例をどちらも満たした場合の上限で、特例には補助事業終了時点での条件が付きます
- ウェブサイト関連費と広報費は、それぞれ上限30万円(税込)で、その区分だけでは申請できません。 ほかの経費と組み合わせる設計が必要です
動き出すのは11月のうちです。
GビズIDの取得と商工会・商工会議所への相談予約、この2つを先に済ませておけば12月は計画を仕上げることに集中できます。
どの経費で組むか、計画をどう書くかでお悩みでしたら、初回のご相談は無料です。
大分で使える制度を目的別に整理したページもご用意しています。
なお補助金の制度内容は、年度や公募回によって変更されます。
本記事は2026年10月時点の第20回公募要領(第8版)にもとづいています。
申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認ください。