「銀行から『不正利用の疑いがあります』というメールが来た」「取引先から『請求書の支払先が変更になりました』という連絡が来た」——こうしたメール、慎重に確認していますか?
これらは、フィッシングメール(偽装メール)の典型的な手口です。
本物の銀行・取引先・配送業者になりすまして、パスワードを盗んだり、お金を騙し取ったりすることを目的としています。
「大企業じゃないから狙われない」というのは誤解です。
中小企業も、取引先になりすました偽メールの標的になっています。
この記事では、フィッシングメールの見分け方と対処法を具体的にお伝えします。
フィッシングメールとは何か

「本物のふり」をして情報を盗む手口
フィッシングメールとは、銀行・取引先・行政機関・有名企業などを装って送られてくる偽のメールです。
メール内のリンクをクリックすると、本物に似せた偽サイトに誘導され、IDやパスワード、クレジットカード情報の入力を求められます。
入力した情報は、そのまま犯罪者の手に渡ってしまいます。
中小企業を狙う「ビジネスメール詐欺」
中小企業に特有の手口として、「ビジネスメール詐欺(BEC)」と呼ばれる攻撃があります。
これは、取引先や社長になりすまして、「請求書の支払先銀行口座が変更になりました」「緊急で〇〇万円を振り込んでください」といったメールを送り、不正に資金を振り込ませる手口です。
実在する取引先とのやり取りを盗み見て、本物のメールに似せて送ってくることもあり、「いつもの取引先からのメール」と思い込んでしまうため、被害に気づきにくいのが特徴です。
フィッシングメールを見分ける7つのチェックポイント

チェック1:送信元のメールアドレスを確認する
表示されている「送信者名」だけでなく、実際のメールアドレスを確認しましょう。
「〇〇銀行」と表示されていても、実際のアドレスがinfo@xyz123.comのような無関係なものであれば、フィッシングメールの可能性が高いです。
スマホのメールアプリでは送信者名だけが表示され、実際のアドレスが見えにくいことがあります。
送信者名をタップ(またはクリック)して、実際のメールアドレスを確認する習慣をつけましょう。
チェック2:「緊急」「今すぐ」という煽り文句に注意
「24時間以内に対応しないとアカウントが停止されます」「本日中にお支払いください」——焦らせる表現は、フィッシングメールの典型的な手口です。
冷静な判断をさせないことが目的なので、こうした文言を見たらまず一度落ち着いて確認する習慣を持ちましょう。
チェック3:リンクのURLを確認する(クリックする前に)
メール内のリンクは、クリックする前にカーソルを乗せる(スマホは長押し)と、実際の飛び先URLが表示されます。
表示されているリンクの文字と、実際のURLが異なっている場合は要注意です。
「https://www.your-bank.co.jp」のように見えても、実際のリンク先が全く違うドメインだったというケースもあります。
チェック4:日本語の不自然さに注意する
海外から発信されるフィッシングメールには、機械翻訳のような不自然な日本語が使われていることがあります。
「お客様の口座に異常が検知されましたので、確認してください」のような、微妙に違和感のある表現に気づいたら、警戒のサインです。
ただし、最近のフィッシングメールは生成AIを使って自然な日本語で作られることも増えているため、文章の不自然さだけに頼らないことも重要です。
チェック5:添付ファイルは安易に開かない
「請求書を添付しました」「重要なお知らせです」というメールに、見慣れない形式の添付ファイル(.exe、.zipなど)がついている場合は警戒しましょう。
開くとウイルスに感染し、パソコン内の情報が盗まれたり、社内のシステムが乗っ取られたりするリスクがあります。
送信元に心当たりがない、または内容に違和感がある添付ファイルは開かないのが基本です。
チェック6:「お金の振込先変更」は必ず電話で確認する
取引先から「支払先の銀行口座が変更になりました」というメールが届いたら、メールの内容を信じる前に、必ず電話で本人確認をしてください。
ビジネスメール詐欺の多くは、この「振込先変更」のタイミングを狙っています。
普段使っている電話番号(メールに記載された電話番号ではなく、自社で把握している番号)にかけて確認することが重要です。
チェック7:「個人情報の入力」を求めるメールは警戒する
「パスワードの再設定が必要です」「本人確認のため、以下の情報を入力してください」——メールのリンクから個人情報やパスワードの入力を求められたら、まず疑いましょう。
正規の企業や銀行は、メールのリンクから直接パスワードの入力を求めることは基本的にありません。
心当たりがある場合はメールのリンクを使わず、公式サイトを自分で検索してアクセスし、ログインして確認するのが安全な方法です。
パスワード管理についての基本は、こちらの記事で詳しく解説しています。
怪しいメールを受信したときの対処法
対処法1:クリックしない、返信しない
不審なメールに気づいたら、リンクをクリックせず、返信もしないことが基本です。
返信することで「このアドレスは有効です」と相手に伝わり、さらに標的にされる可能性があります。
対処法2:社内で情報を共有する
一人が受け取った不審なメールは、他のスタッフにも届いている可能性があります。
「こんなメールが来た」とすぐに社内で共有する仕組みを作っておきましょう。
LINEグループやチャットツールで「怪しいメール情報」を共有するルールを決めておくと、被害の拡大を防げます。
対処法3:万が一クリックしてしまったら
リンクをクリックしてしまった、または情報を入力してしまった場合は、すぐにパスワードを変更し、該当のサービス(銀行・カード会社など)に連絡してください。
「もう遅い」と諦めず、早めの対応が被害を最小限に抑えます。
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業種別・気をつけたいフィッシングの手口
飲食店・小売業:宅配業者・決済代行会社を装うメール
「お荷物のお届けに失敗しました」「決済処理に問題が発生しました」という、配送業者やクレジットカード決済代行会社を装ったメールが多く報告されています。
注文・配送に心当たりがない場合は無視し、必要であれば公式サイトから直接確認しましょう。
美容室・サロン:予約システムやSNSのアカウント乗っ取りを狙うメール
「ログイン情報の確認が必要です」というInstagramやLINEになりすましたメールも多く出回っています。
SNSや予約システムへのログインは、メールのリンクではなく、公式アプリやブックマークしたURLから行うようにしましょう。
宿泊業:予約サイトを装うメール
「予約のキャンセルに関する確認」「予約サイトからの重要なお知らせ」という形で、宿泊予約サイトを装ったフィッシングメールも報告されています。
複数の予約サイトを使っている宿泊業は特に注意が必要です。
まとめ:「一度立ち止まる」ことが最大の防御策
この記事のポイントをまとめます。
- フィッシングメールは、緊急性を装って冷静な判断をさせないようにします。 焦らず、一度立ち止まって確認する習慣をつけましょう。
- 送信元アドレス・リンクのURL・添付ファイルの3点は、特に注意してチェックすることが基本です。
- 「振込先変更」のメールは、必ず電話で本人確認する——これが、ビジネスメール詐欺から会社を守る最も重要なルールです。
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