取引先から「DAIBって入った?」と聞かれて、慌てて検索した——そんな方もいるかもしれません。
大分県が2026年7月に立ち上げた「DAIB(ダイブ)」。県のページを開くと、AIの活用を進める組織で、年会費は2万円と書かれています。ただ、そこで何が得られるのかは、読んでもはっきりしません。
先に結論をお伝えします。DAIBは「学ぶ場・出会う場」であって、個別相談の窓口ではありません。
自社の課題がすでに言葉になっている会社には効きますが、「何から手をつけるか決まっていない」段階では、持ち帰れるものが少なくなります。
この記事では、年会費2万円の実際と、入る価値がある会社の条件を整理します。
DAIBとは何か
正式名称は Digital & AI Innovation Bridge。
大分県が令和8年7月24日に設立しました。
8月6日には大分駅前のGarraway 0でキックオフフォーラムが開かれています。
名前のとおり「ブリッジ(橋)」が役割です。
県のページでは会員を2つの立場に整理しています。
- ユーザー会員: 先端デジタル技術の活用に意欲のある事業者(=課題を持っている側)
- ベンダー会員: 先端デジタル技術を提供する事業者(=解決策を持っている側)
この2者を県が引き合わせる、という設計です。
業種は問わず、製造・建設・運送から医療・福祉、教育、卸小売、飲食・宿泊、不動産などのサービス業まで幅広く想定されています。
個人事業主も対象です(入会フォームの種別に「法人・団体等」「個人事業主」の2択があります)。
初年度の3つのテーマ
会員は、関心のあるグループを選んで参加します。
| グループ | 内容 |
|---|---|
| ビジネスモデル変革SG | スタディグループ。 先駆者を招いた事例研究 |
| AIロボティクスSG | 同上。 AIとロボットの組み合わせが主題 |
| AIエージェントWG | ワーキンググループ。 先端デジタル企業と一緒にAI導入プロジェクトを実践 |
SG(スタディグループ)は学ぶ場、WG(ワーキンググループ)は実際に手を動かす場です。
WGでは導入プロジェクトを通じて社内のデジタル人材を育てることも狙いに掲げられています。
このほか、東京都内で先端デジタル企業を紹介するマッチングイベントも予定されています。
現場でどう使う話なのか
県のチラシには、業種別の活用例が挙げられています。
重点的に想定されている使い方が見えるので引いておきます。
- 宿泊業: 施設情報・宿泊プラン・予約状況・周辺の観光情報をもとに、インバウンドからの問い合わせに多言語で24時間対応する
- 製造業: 製造した部品の箱詰めと倉庫への運搬をロボットが代行する
- 卸・小売業: 商品情報や顧客情報をもとに、プレスリリースや商談会資料をターゲットに応じて多言語で自動作成する
旅館で予約サイトごとに手作業で在庫を合わせている、という状況を思い浮かべると、目指している方向は伝わってきます。
なお実際に開催された活動として確認できるのは、2026年9月24日の「第1回AIロボティクスSGセミナー」です。
会場はownspace(大分市金池南)、定員40名の先着、参加費は無料、講師は一般社団法人AIロボット協会の岡田隆太朗氏でした。
このセミナーは「DAIB会員限定」で、非会員はまず入会し、入会後に別途セミナーの申込フォームを受け取る流れになっています。
年会費2万円の実際

ここは公式ページとチラシには書かれておらず、入会フォームにだけ記載がある部分です。
判断に直結するので正確にお伝えします。
請求は2〜3月。入会時に払うわけではない
入会フォームの「入会に関する重要事項」にはこう書かれています。
- 年会費は20,000円(請求時に会員資格を有している場合。会計年度終了前、2〜3月頃に請求予定)
- 会員資格は、本会の目的に賛同し、活動に参加する法人、団体または個人事業主等
- 退会は自由(事務局へ連絡)
入会の際は「年会費20,000円の支払い(請求時に会員資格を有している場合)を了承します」というチェックが必須です。
つまり入会した時点で2万円が発生するわけではなく、年度末の請求時点で会員であれば請求されるという設計です。
チラシにも「納入方法等は後日連絡」とあります。
判断としてどう考えるか
退会が自由で、請求が年度末である以上、「まず参加してみて、自社に合うかを確かめる」という入り方ができる制度だと言えます。
2万円を払ってから中身を知るのではなく、中身を見てから年度末を迎える順序になるわけです。
もっとも、年会費や活動内容は年度によって見直される可能性があります。
申し込む際は必ず最新の記載をご確認ください。
年会費2万円を払う価値があるのはどんな会社か
診断士としての見方をお伝えします。
なお当事務所はDAIBの会員ではありません。
ここから先は、県の公開資料と入会フォームの記載を読み解いたものであり、参加した体験にもとづくものではない点をお断りしておきます。
向いている会社
- 自社の課題がすでに言葉になっている。「賞味期限管理の二重チェックに毎日1時間取られている」というところまで具体化できている
- 実装まで踏み込む体力がある。WGは「一緒にプロジェクトを実践する」場なので、担当者を出せることが前提になります
- 技術を提供する側である。ベンダーの立場なら、県内の課題に出会う場として費用対効果は分かりやすいでしょう
- 社内に人を育てたい。WGの狙いにデジタル人材育成が含まれています
入会を急がなくてよい会社
- 何から手をつけるか決まっていない。この状態でセミナーに出ても、持ち帰るものが「なんとなくすごかった」で終わりがちです
- 担当者を出せない。学ぶ場は、行く人がいて初めて機能します
- すぐに成果を出したい。SGは事例研究、WGはプロジェクトの実践であり、短期で売上に直結する仕組みではありません
大切なのは、DAIBに入ったから課題が解決するわけではないということです。
橋は渡る人がいて初めて役に立ちます。
渡る先が決まっていない段階なら、先に決める作業のほうが価値が高い。
当事務所では、その「自社の課題を言葉にする」段階からお手伝いしています。
初回相談は無料です。
入会の手順と、その後にやること
- 自社の課題をA4一枚に書き出す。どの業務に、誰の時間が、どれだけ取られているかを数字で書きます
- 自社の課題が3つのテーマと重なるかを確かめる。ビジネスモデル変革SG・AIロボティクスSG・AIエージェントWGのどれに近いかを見ます
- 申し込む。DAIBは県のページの入会フォーム、または申込書をメール・FAXで提出します
- SG/WGの案内を待ち、参加するグループを選ぶ
- 出てきた導入候補をどう評価するか、先に決めておく。費用、効果、運用する人——この3点を測る物差しがないと、良さそうな提案に流されます
費用は年会費2万円です。
お問い合わせは大分県商工観光労働部 先端技術挑戦課(TEL 097-506-2892)です。
まとめ
- DAIBは県が2026年7月に設立したAI活用の会員制プラットフォームです。
年会費20,000円で、SG(事例研究)・WG(導入プロジェクトの実践)・東京でのマッチングイベントに参加できます。業種は問わず、個人事業主も対象です - 年会費は入会時ではなく会計年度末の2〜3月頃に請求され、退会は自由です。
中身を見てから判断する入り方ができます - 向いているのは、課題がすでに言葉になっていて、担当者を出せる会社です。
DAIBは課題が定まった会社が技術提供者と出会う場、と考えるのが実態に合っています。
何から始めるか決まっていない段階では、先に課題を具体化するほうが価値が高くなります
制度の内容や年会費は年度によって見直される可能性があります。
申し込みの前に必ず大分県の公式ページで最新の情報をご確認ください。
自社の課題を言葉にするところから、一緒に整理することもできます。
IT活用のご相談はITコンサルティングのご案内をご覧ください。