「AIは便利らしいけど、うちみたいな小さい店が払える額じゃないでしょう」
1年ほど前に調べて、そのまま止まっている。
そういう経営者の方は多いと思います。
結論からお伝えします。
この1年で前提は変わりました。
ただし「全部が安くなった」わけではありません。
大きく下がったのは、システム連携などに使う「API」の料金です。
一方で、個人が契約する月額プランはほとんど値下げされていません。
さらに、値上げの動きも同時に進んでいます。
この記事では、2026年10月時点の各社の公式価格をもとに、何が下がって何が下がっていないのかを分けて整理します。
1年前と比べて何が下がったのか

大きく下がったのは「APIのトークン単価」です
まず用語を整理します。
APIとは、自社のシステムや業務ツールからAIを呼び出すための接続口のことです。
チャット画面を人間が操作するのではなく、プログラムから自動で使う仕組みだと考えてください。
APIの料金はトークンという単位の従量課金です。
トークンはおおまかに言えば文字のかたまりで、日本語なら1文字が1トークン強に相当します。
読み込ませた文章(入力)と、AIが書いた文章(出力)の量で課金されます。
このトークン単価が、1年で大きく下がりました。
新旧の価格が同じ公式ページに並記されているAnthropic(Claude)で比べると、こうなります。
| 位置づけ | 1年前に現役だったモデル | 現在のモデル | 下げ幅 |
|---|---|---|---|
| 最軽量 | Haiku 4.5($1/$5) | Haiku 5.5($0.10/$0.50) | 入力・出力とも約90%減 |
| 中位 | Sonnet 4.5($3/$15) | Sonnet 5.5($2/$10) | 約33%減 |
| 最上位 | Opus 4.1($15/$75) | Opus 5.5($4/$20) | 約73%減 |
※100万トークンあたりの米ドル価格(入力/出力)。Haiku 5.5 は10万トークン以下の場合。
各社の公式発表でも、値下げが明示されています。
Claude Haiku 5.5 は「平均して実行コストが約75%下がった」、Claude Opus 5.5 は「単価は前世代比20%減、通常の作業では40%低コスト」、OpenAI の GPT-6.1 Sol は「GPT-6 Astra の5分の1の単価」とされています。
Claude Sonnet 5.5 は価格据え置きのまま「30%以上高速化」しました。
月額プランは、ほとんど下がっていません
ここが誤解されやすいところです。
個人や小規模事業者が実際に契約する月額プランで、この1年に公式に値下げされたのは Google AI Ultra($250→$200)だけです。
ChatGPT Plus も Claude Pro も、月額20ドルのまま据え置きです。
変わったのは「安いプランが増えた」ことです。
ChatGPT Go(月8ドル)、Google AI Plus(月725円)、Google AI Ultra の100ドルプランなど、低価格の入口が新設されました。
これは既存プランの値下げではなく、選択肢の追加です。
つまり「AIが全体的に安くなった」のではなく、「自動化の原価が下がり、入口の選択肢が増えた」というのが正確な理解になります。
中小企業が払う金額は実際いくらか
では、自社で使うといくらかかるのか。
2026年10月時点の公式価格で整理します。
1人で使うなら
| OpenAI / ChatGPT | Anthropic / Claude | Google / Gemini | |
|---|---|---|---|
| 無料 | Free($0) | $0 | ¥0 |
| 低価格帯 | Go $8/月 | — | AI Plus ¥725/月 |
| 標準 | Plus $20/月 | Pro $20/月(年払いなら実質$17/月) | AI Pro ¥2,900/月 |
| 上位 | Pro 100 $100〜 | Max $100〜 | AI Ultra ¥14,500/月〜 |
ひとりで事業をされているなら、標準プランで足ります。月20ドル、日本円でおよそ3,000円前後です。
なお、ChatGPT の日本円価格は公式ページで確認できませんでした。
公式は米ドル表記のみで、日本円の金額は二次情報にしか見当たりません。
上の表もドル表記のままにしています。
社内で複数人が使うなら
ここが、意外と知られていない部分です。
| 月払い | 年払い | 最低契約人数 | |
|---|---|---|---|
| ChatGPT Business | $25/人/月 | $20/人/月 | 2ユーザーから |
| Claude Team | $25/人/月 | $20/人/月 | 2名から(上限150名) |
| Gemini Enterprise Business | $21/ライセンス/月〜 | 記載なし | 下限の記載なし |
ChatGPT Business と Claude Team は、2名から契約できます。
「法人向けプランは人数が多くないと契約できない」と思われがちですが、スタッフ2人の店でも対象です。
一方、Claude Enterprise は最低20席からなので、小規模事業者には現実的ではありません。
スタッフ4人の美容室で、オーナーと店長の2人分から始めるなら、年払いで1人月20ドル×2名=月40ドル程度。
まずこの規模で試す、という進め方ができます。
年払いにすると約2割安くなります
3社に共通するのが年払いの約20%引きです。
Claude Pro は月払い$20が年払いで実質$17、Business/Team の標準シートは$25が$20になります。
続けるかどうか分からない段階では月払い、使い続けると決まってから年払い、という切り替え方が無難です。
無料でどこまで試せるか

費用をかけずに始められる範囲も広がっています。
3社の無料プランでできること
| 公式に記載されている内容 | |
|---|---|
| ChatGPT Free | GPT-6 との無制限のテキストチャット。アップロード・画像生成・音声・メモリは上限あり |
| Claude Free | Sonnet と Haiku が使える。最上位モデルは対象外。5時間ごとの上限あり |
| Gemini 無料 | Flash-Lite モデルのみ。有料版は無料版の2倍・4倍と相対表示 |
文章を書く、要約する、相談するといった用途であれば、無料プランでもかなりのことができます。
メニューの説明文を書かせてみる、長い案内文を短くまとめさせてみる。
この程度なら費用はかかりません。
有料に切り替えるのは、画像の読み取りや長い資料を扱うようになってから。
その順序で十分です。
各社とも「何回まで」を公表しなくなりました
ひとつ注意点があります。
3社とも、無料プランで使える具体的な回数を公表していません。
「上限あり」「有料版は2倍」といった相対的な表記に統一されています。
3社とも「5時間ごとにリセットされる枠+週単位の上限」という方式に収束しており、使い方によって体感は変わります。
回数を数えて比較することは、現状ではできません。
実際に触ってみるのが一番早いです。
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ただし、逆向きの動きも同時に起きています
ここは他の比較記事がほとんど書いていない部分です。
値下げだけを見て判断すると、来年の請求で驚くことになります。
割引期間が終わると倍になるAPI料金があります
Google の Gemini API は、多くのモデルが期間限定の割引価格です。
公式の料金ページには、今後の値上げが日付付きで予告されています。
- Gemini 4 Argon は 2026年12月1日に、入力$2/出力$10 から $4/$20 へ倍増
- Flash系も 2026年12月31日〜2027年1月1日に約2倍へ
OpenAI の GPT-5.6 Sol も、割引価格は「少なくとも2026年11月21日まで」という期間限定です。
今の単価で試算した自動化の原価が、年明けに倍になる可能性があります。
価格は据え置きでも、使える量が減ることがあります
2026年9月29日、OpenAI は ChatGPT Pro に月500ドルの新ティアを追加しました。
同時に、従来の Pro 200(月200ドル)の新規契約では使用量の上限が引き下げられています。
価格は据え置きでも、同じ金額で使える量は減っているということです。
「単価は同じ、実効コストは増える」という変化
もうひとつ分かりにくい動きがあります。
Anthropic は公式に、Claude 4.7以降のモデルが同じ文章に対して約30%多いトークンを生成するトークナイザを使っていると説明しています。
そして「これは実効コストに影響するが、表示価格の変更ではない」と明記しています。
単価が同じでも、同じ作業にかかる費用は増える。
こうした変化は価格表には現れません。
では、自社では何ができるようになったのか
数字を並べるだけでは意味がないので、自社の話に落とします。
「月いくらまでなら試せるか」を先に決める
おすすめの進め方は、機能から選ぶのではなく、先に上限額を決めることです。
月3,000円までなら試せる、というなら標準プラン1人分です。
月1万円までなら、2〜3人で法人プランを契約できます。
この枠を決めてから、その中で何ができるかを見るほうが、比較検討で止まりません。
1年前に「APIを使った自動化」を見積もって高額で断念したのであれば、同じ仕組みの原価がまったく変わっています。
受発注データの仕分けや問い合わせの一次対応など、当時あきらめた計画をもう一度見積もってみる価値はあります。
料金が下がっても、使いこなせるかは別の問題です
最後に、正直なところをお伝えします。
公的な統計では、中小企業がAI導入でつまずく最大の理由はコストではなく「具体的な活用イメージが描けない」ことでした。
詳しくは中小企業のAI導入が進まない本当の理由。公的統計が示す「足りないもの」で解説しています。
値段が下がったことは、見送る理由がひとつ減ったという意味でしかありません。
何に使うかが決まっていなければ、月3,000円でも無駄になります。
逆に、やりたいことが決まっているなら、費用は以前ほど壁になりません。
まとめ
- 下がったのはAPIのトークン単価です。 1年で最大9割下がったモデルもあります。月額プランで公式に値下げされたのは Google AI Ultra だけで、ChatGPT Plus・Claude Pro は据え置きです
- 2名から契約できる法人プランがあります。 ChatGPT Business と Claude Team は年払いで1人月20ドル。スタッフ2人の店でも使えます
- 値上げの動きも同時に進んでいます。 Gemini API は12月1日に一部モデルが倍額、ChatGPT Pro 200 は使用量の上限が引き下げ。単価据え置きでも実効コストが上がる変化もあります
まずは無料プランで触ってみて、続けられそうなら月3,000円の標準プランへ。
その順序で十分です。
何に使えばよいか決まっていない段階でのご相談もお受けしています。
初回相談は無料です。
本記事の価格はすべて2026年10月時点で各社の公式ページから確認したものです。
AIの料金は数か月単位で変わり、各社とも価格の変更があり得る旨を明記しています(表示は税別)。
契約前に必ず各社の公式ページで最新の金額をご確認ください。
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