「中小企業成長加速化補助金」は、売上高100億円を目指す中小企業の大型投資を支援する補助上限額5億円・補助率1/2という国内最大規模の補助金制度のひとつです。
申請には「100億宣言」が前提条件となっており、2段階審査(書面+経営者プレゼン)を突破した企業だけが最大5億円を手にできます。
本記事では制度の全体像・対象者・審査ポイント・注意点をわかりやすく解説します。
中小企業成長加速化補助金とは?
中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を国が直接支援する制度です。
日本では賃上げや国内投資が30年ぶりの高水準となる一方、物価高・人手不足など経営課題が山積しています。
売上高100億円超の企業は賃金水準が高く、サプライチェーンを通じた地域経済への波及効果も大きいことから、国の政策として重点的に創出・育成するのがこの補助金の目的です。
運営は中小企業庁が主管し、事務局はTOPPAN株式会社が担当しています。
対象者の要件(7つすべてを満たすこと)
以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ① 投資額が1億円以上(税抜き)※建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合算
- ② 申請時点で「100億宣言」がポータルサイトに公表されていること(必須)
- ③ 賃上げ要件を含む今後5年程度の事業計画を策定すること
- ④ 売上高10億円以上100億円未満の中小企業者
- ⑤ 日本国内に本社・補助事業の実施場所を有すること
- ⑥ 直近3年間の課税所得の年平均が15億円を超えていないこと
- ⑦ みなし大企業・みなし同一法人でないこと
⚠️ ポイント:「100億宣言」がポータルサイトで公表されていることが申請の絶対条件です。
登録から公表まで2〜3週間かかるため、早めの準備が必要です。
補助対象経費
以下の5種類が補助対象経費となります。
建物費・機械装置費・ソフトウェア費はそれぞれ単価100万円以上のものが対象です。
- 建物費:事業専用の建物の建設・増築・改修・中古建物取得
- 機械装置費:事業専用の機械・装置・工具・器具の購入・製作
- ソフトウェア費:専用ソフト・情報システム・クラウドサービス利用費
- 外注費:加工・設計・検査等の一部外注(投資額未満であること)
- 専門家経費:技術指導・コンサルティング(1日5万円以内)
対象外の主な経費:汎用品(パソコン・タブレット等)、家賃・保証金、自動車、人件費、更新投資(老朽化設備の単純入替)
補助額・補助率
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 5億円 |
| 補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
| 最低投資額 | 1億円以上(税抜き) |
| 補助金受給例 | 投資1億円 → 最大5,000万円 / 投資10億円 → 最大5億円 |
| 補助事業期間 | 交付決定日から24か月以内 |
| 支払方法 | 後払い(先に全額支出→後から補助金を受領) |
重要!賃上げ要件
補助事業完了後3年間(最終年度)における従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%以上であることが条件です。
申請時にこの目標を掲げ、交付決定前に全従業員または従業員代表者へ表明する義務があります。
⚠️ 返還が発生するケース
- 交付決定前に従業員への目標表明がなかった場合
- 基準年度の1人当たり給与が申請時直近年度を下回った場合
- 最終年度の目標を未達成の場合(未達成率に応じて補助金を返還)
申請の流れ(2段階審査)
- STEP1:GビズIDプライムの取得(約2週間)
- STEP2:100億宣言の登録・公表(2〜3週間)
- STEP3:投資計画書・財務資料の作成
- STEP4:jGrantsで応募申請(締切厳守)
- STEP5:1次審査(書面審査)→ 通過者のみ2次審査へ
- STEP6:2次審査(プレゼンテーション)― 経営者自身の出席・説明が必須
- STEP7:採択 → 交付申請(採択後2か月以内)→ 交付決定
- STEP8:事業実施(交付決定後に契約・発注が可能)
3次公募のスケジュール(2026年9月29日〜11月12日・締切延長)
3次公募の申請受付が2026年9月29日(火)に始まりました。当初の締切は10月29日でしたが、2026年11月12日(木)15時に延長されています(事務局が9月29日に公表)。時刻厳守です。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月下旬 | 公募説明会(動画配信) |
| 2026年9月29日(火) | 申請受付開始 |
| 2026年11月12日(木)15:00 | 申請受付締切(厳守)※10月29日から延長 |
| 2027年1月中旬 | 1次審査(書面)結果の通知 |
| 2027年2月15日(月)〜3月5日(金) | プレゼン審査(土日を除く) |
| 2027年3月下旬以降 | 採択結果の公表 |
申請から採択発表まで4か月半ほどかかります。さらに採択決定から原則2か月以内に交付申請を行い、交付決定を待って初めて発注・契約ができます。設備の納期まで含めて逆算すると、いま動き出しても事業着手は2027年半ば以降になる見込みです。
締切延長で何が変わるか。間に合うかどうかの分かれ目
締切が11月12日に延びたことで、前提条件の準備から始めても間に合う可能性が出てきました。ただし次の2つは日数が読めないため、逆算が必要です。
- 100億宣言の公表:通常2〜3週間(事務局も「締切間近は申請の確認に時間を要する可能性がある」と告知しています)
- GビズIDプライムの取得:2週間程度
100億宣言は申請してもすぐには公表されず、公表までに通常2〜3週間かかります。事務局は10月9日付のお知らせで、3次公募に申請するなら、宣言の申請は2026年10月26日(月)までに行うよう案内しています。10月27日(火)以降の申請では、公募締切の11月12日までに公表が間に合わない可能性があるとされています。すでに公表済みの企業であれば、残りの期間を投資計画書の作成に充てられます。まずは自社の宣言が公表済みかどうかの確認が出発点です。
なお申請様式と公募説明会の動画は、受付開始日の2026年9月29日に公開されています。公募要領・交付規程・電子申請マニュアルも同日に更新されました。申請様式は公募回ごとに異なるため、必ず3次公募用のファイルを使ってください。
4次公募の予定は公表されていない
本補助金は令和7年度補正予算で措置された事業です。3次公募のよくあるご質問では「4次公募の予定はありますか」という問いに対し、「令和7年度補正予算については、本3次公募をもって終了となる見込み」と回答されています。ただし事務局は「今後については最新情報を随時提供する」とも述べており、後続予算での継続が否定されたわけではありません。
参考までに、有効申請件数と採択件数は1次公募が1,270件→207件(約6.1倍)、2次公募が872件→223件(約3.9倍)と推移しています。申請数が減り採択数は増えたため、2次は1次より通りやすくなりました。いずれにせよ、投資計画が固まっている企業は次の機会を待つ前提で判断するのは避けたほうがよいでしょう。
2次公募からの変更点
制度の骨格(補助上限5億円・補助率1/2・投資額1億円以上・賃上げ年平均4.5%以上)は2次公募から変わっていません。実務で押さえておきたいのは次の2点です。
共同申請の投資額の判定が明確化されました。複数事業者で申請する場合、参加企業の中に投資額5千万円以上の中小企業者を1者以上含む必要があります。この5千万円に含める経費の範囲が、公募要領の改訂で明記されました——建物費・機械装置費・ソフトウェア費のうち資産計上するものの合算であり、専門家経費・外注費は含みません。なお共同申請では、100億宣言と賃上げ要件を原則として各社それぞれが満たす必要があります。
賃上げ目標は「総額」か「1人当たり」かを申請時に選びます。年平均4.5%以上という基準率(全国の直近5年間の最低賃金の年平均上昇率)を、「従業員の給与支給総額」で満たすか「従業員1人当たりの給与支給総額」で満たすかは、応募申請時に選択します。申請後の変更はできません。採用を増やす計画なら1人当たりの上昇率は伸びにくく、逆に総額は増えやすい——どちらを選ぶかで難易度が変わるため、ここは人員計画とあわせて慎重に決める必要があります。
このほか、局地激甚災害の指定地域で重複被災した事業への審査上の配慮措置が追記されましたが、大分県は指定地域に含まれません。県内の事業者が使える措置ではないため、本記事では詳細を割愛します。
審査で評価される3つのポイント
採択倍率は1次公募が約6.1倍、2次公募が約3.9倍(いずれも事務局公表値)。以下の3点が重点評価項目です。
① 経営力
100億円達成に向けた中長期ビジョン・5年間の成長戦略が論理的に構築されているか。
高い売上高成長率・付加価値増加率・投資比率が計画に示されているかが問われます。
② 波及効果
域内仕入の拡大・サプライチェーンへの波及・地域経済への貢献があるか。
パートナーシップ構築宣言・BCP策定・女性活躍推進などのモデル企業的取組みも評価されます。
③ 実現可能性
ローカルベンチマークによる財務スコアリングと、金融機関のコミットメント(確認書の提出)が重要な評価要素となります。
申請前に確認!よくある注意点8選
- 100億宣言の公表に2〜3週間かかる(申請前に必ず完了させること。3次公募は宣言の申請を10月26日までに)
- GビズIDプライムの取得に約2週間かかる
- 投資額1億円以上が必須(外注費・専門家経費は含まない)
- 更新投資(老朽化設備の単純入替)は対象外
- 交付決定前の発注・契約は補助対象外(採択後も交付決定を待つこと)
- プレゼン審査に外部コンサルが同席すると不採択・取消リスクあり
- 補助金は後払い(先に全額を自己資金または融資で用意する必要がある)
- 賃上げ未達成の場合は未達成率に応じて補助金返還あり
こんな企業に向いている/向いていない
✅ 向いている企業
- 売上高10億〜100億円で大型の設備投資・建物建設・ITシステム導入を計画している
- 100億宣言をすでに行っている(または行う予定がある)
- 金融機関のサポートが得られる見込みがある
- 経営者自身がビジョンを対外的に語れる状態にある
❌ 向いていない企業
- 投資額が1億円に満たない(小規模投資)
- 賃上げ計画が現実的に見込めない企業
まとめ:重要情報一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 中小企業成長加速化補助金(3次公募) |
| 申請受付 | 2026年9月29日(火)〜11月12日(木)15:00(厳守)※10月29日から延長 |
| 採択結果の公表 | 2027年3月下旬以降 |
| 補助上限額 | 5億円 |
| 補助率 | 1/2以内 |
| 必要投資額 | 1億円以上(税抜き) |
| 前提条件 | 100億宣言の公表 + GビズIDプライム取得 |
| 賃上げ要件 | 年平均4.5%以上(未達成は返還) |
| 審査 | 2段階(書面1次 → プレゼン2次)経営者出席必須 |
| 採択倍率 | 1次公募 約6.1倍(1,270件→207件)/2次公募 約3.9倍(872件→223件) |
| 問い合わせ | TEL: 0570-07-4153(平日10:00-17:00) |
| 公式サイト | https://growth-100-oku.smrj.go.jp |
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