【ハードワーク】2015年W杯ラグビー日本代表の活躍に見る最高の「努力」

ハードワーク表紙

私が最近読んだ本について感想を簡単に書いていこうと思います。

まずは、エディ・ジョーンズ氏の「ハードワーク」です。

目次

ハードワークとは

この『ハードワーク』はラグビー日本代表の前ヘッドコーチであるエディ・ジョーンズ氏が、2015年のラグビーワールドカップでの日本代表の躍進と絡めて、「正しい努力」の仕方について語った一冊です。
ラグビーに詳しくない方のためにエディ・ジョーンズ氏を紹介します。エディ・ジョーンズ氏はオーストラリア人なのですがお母様と奥様は日本人であり、ラグビーのコーチを始めたのも日本の東海大学からというように、とても日本と縁の深い方です。
そしてラグビーの指導者としても世界的な名将の一人として有名で、ラグビーワールドカップでは2003年の大会でオーストラリア代表のヘッドコーチとして準優勝、2007年の大会では南アフリカ代表のスタッフとして優勝という輝かしい戦績を残しています。
そのエディ・ジョーンズ氏がラグビー日本代表のヘッドコーチとして選手を指導する中で感じた、日本人が世界で戦えるようになるために必要なことは主に以下の3つに集約されます。

  1. 「努力」は常に100%の力を出し切ること
  2. 「成功」は準備の段階で全てが決まる
  3. 「チャレンジ」は成功の素

ラグビー

「世界に通用する」努力のしかたとは

それでは、「世界に通用する」努力の仕方とはどのようなものでしょうか?一つ一つ見ていきましょう。

「努力」は常に100%の力を出し切ること

あなたは何か取り組んでいることに対して頑張ったときに、「今日は90%くらいの力を出して頑張った!」と思うような時はありませんか?
このような状況は著者に言わせてみれば、努力したことになりません。常に持てる力の100%を出し切らないと努力したことにならないのです。
実力のある人であれば、持てる力のすべてを出し切らなくても、そこそこの成果を上げることはできるかもしれません。しかし、その人の実力で達成することのできる最上の成果に到達することはできません。
その結果、「そこそこの成果は出せる人間」にはなりえても、「最高の結果をもたらす人間」にはなれません。力の出し惜しみは、その人の成長を鈍らせてしまうのです。

「成功」は準備の段階で全てが決まる

エディ・ジョーンズ氏は、最上の結果を出して成功を手に入れるためには、事前の準備がとても重要であると説きます。
ラグビー日本代表が、2015年大会の初戦で撃破した南アフリカ代表は出場国の中で過去の大会の敗戦数が最も少ない国で、逆に日本代表は最も勝利数の少ない国でした。
世界中の人々を驚かせた勝利は、どのように強化をすれば相手に勝つことができるかというプランを立て、その実現に向けて周到に強化を行った成果でした。
また、その強化にあたっては当然ながらスケジュールを立てて実行していきますが、日本では最初にきめたスケジュールを一通りこなした後で振り返るのが普通だと思います。
しかし、エディ・ジョーンズ氏はスケジュールは状況に応じてどんどん変更すべきと考えています。
一度作成したスケジュールも、定期的に振り返ってその時点の状況にそぐわないものになっていれば、状況に応じたものに更新すべきなのです。

日本人の感覚から見るとより短いサイクルで計画の実行→見直しを行っているのです。

「チャレンジ」は成功の素

特に日本の学校教育や部活動においては、生徒は失敗よりも成功が求められる傾向があります。その結果、新しい事や自分の考えた事に挑戦するよりも、指導者や先生に言われたことを守ることを重視するようになり、「自分で考える力」「新しい事に挑戦する力」が育ちにくいと言われています。
また、日本では失敗したり間違った時に指導者がすぐに答えを教えてしまうことが問題であると本書では指摘しています。そのため、日本人は自分で考え状況判断を下すことが苦手な人が多いのです。
そのような事態を避けるためには、人が失敗を恐れずに自分の考えに従って挑戦することができる環境づくりが求められます。
日本ではサントリーのラグビー部のヘッドコーチもエディ・ジョーンズ氏は務めていました。サントリーの企業風土を象徴する「やってみなはれ」の精神を、エディ・ジョーンズ氏も称賛しています。
「やってみなはれ」のように、自ら挑戦して失敗から学ぶことが、人の成長には欠かせないのです。

飛躍する

まとめ

日本に縁のある人であるとはいえ、外国人であるエディ・ジョーンズ氏の見方は日本人にとって厳しいものです。
しかし、日本のチームであろうと海外のチームであろうと、その国の人々の特性を踏まえて海外の舞台で好成績を残した指導者の言葉なので、非常に説得力があります。
これまであまりラグビーに興味がなかったという方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。