『キャッシュレス・消費者還元事業』に対応しよう

キャッシュレス決済のイメージ

目次

『キャッシュレス補助金』で無料でキャッシュレス決済を始めよう

今回もキャッシュレス決済について取り上げていきます。
消費税の税率UPまで残り1か月ほどになりました。
というわけで、この税率UPに伴う各種政策が実行に移されるのも、あと1か月ほどということになりました。

その中でも最近話題になることが多いのがこの『キャッシュレス・消費者還元事業』ではないでしょうか。

『キャッシュレス・消費者還元事業』とは?

この「キャッシュレス・消費者還元事業」は、この10月から2020年6月までの期間中に、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済等のキャッシュレス決済を使って支払いをすると、中小店舗で購入した場合で5%、大手店舗で購入すると2%のポイント還元がつくというものです。

消費税の税率引き上げで見込まれる税収の増額分と同じくらいのバラマキをして、消費の落ち込みを防ぐのに合わせて、なかなか普及の進まないキャッシュレス決済を普及させていこうという政策です。

その是非についてはいろいろあるのではないかと思いますが、政策として実行される以上、対応していかなければならないものでもあります。

『キャッシュレス補助金』とは?

上記のポイント還元は消費者向けの政策ですが、キャッシュレス決済を普及させるための政策が『キャッシュレス補助金』です。

これは、このポイント還元事業に参加する中小店舗に対して、キャッシュレス決済の導入に際して必要な経費を補助するものです。
基本的に中小店舗の事業者側に経費負担をさせないようにとのことなので、これからキャッシュレス決済を導入したい店舗経営者は、無料でキャッシュレス決済に必要な機材を導入することができます。

クレジットカードの画像
クレジットカードはキャッシュレス決済の代表格

キャッシュレス決済導入のメリット・デメリット

キャッシュレス決済を導入することのメリットやデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

メリット

キャッシュレス決済を導入するメリットには次のようなものがあります。

  • 「キャッシュレス・消費者還元事業」参加による囲い込みが可能
  • 現金の取り扱いに関するリスクの低減
  • 購入単価UP
  • レジ締等の業務の削減
  • インバウンド観光客対策として有効

「キャッシュレス・消費者還元事業」参加による囲い込みが可能

この10月に始まる「ポイント還元事業」に参加することにより、顧客の囲い込みができるようになります。
逆に言えば「ポイント還元事業」に不参加の場合、顧客は「ポイント還元事業」に参加している他社を選択する可能性が高くなります。
同業他社に客を奪われないようにするためにも、キャッシュレス決済を導入し、「ポイント還元事業」に参加することは重要です。

現金取り扱いに関するリスクの低減

日本はまだキャッシュレス決済の普及率が低く、現金での商売に慣れている人が多いのではないかと思います。
しかし、現金決済には「盗難」「釣銭間違い」等のリスクが付きまといます。キャッシュレス決済の導入により、現金取扱量を減らし、これらのリスクを低減させることができます。

購入単価UP

クレジットカードのやクレジットカードに紐づくキャッシュレス決済の手段をもっていれば、手持ちの現金が不足していても購入することができます。
現金でしか支払い出来ないとなると、財布に入っている金額が予算上の制約となるため、それ以上の支払いはできません。
店側からすると、予算制約のラインが上がるため、購入単価が上がることが期待できます。

レジ締等の業務の削減

キャッシュレス決済のみでの対応が可能となれば、「レジ締」として売上額とレジ内の現金額をチェックするという業務から完全解放されます。
現実的には現金決済も並行稼働することにはなりますが、現金の取扱量が減ることにより、数えるのが楽になります。

インバウンド観光客対策として有効

キャッシュレス決済への対応は、海外からやってきた観光客への対応策としても有効です。
2019年秋のラグビーワールドカップと2020年の東京オリンピックで海外からの観光客が大幅に増加することが予想されます。
キャッシュレス決済については、欧米では主にクレジットカード、東アジア・東南アジアではQRコード決済が利用されています。
キャッシュレス決済に対応しておくことによって、これらインバウンド観光客が買い物しやすい状況を作ることができます。

外国人観光客

デメリット

一方、キャッシュレス決済のデメリットには次のようなものがあります。

  • 不正利用等のセキュリティ上の問題
  • 停電すると利用できない
  • サービスの乱立
  • 決済手数料が必要
  • 入金サイクルの延長

不正利用等のセキュリティ上の問題

2019年7月にスタートしたばかりの「セブンペイ」が早々に不正アクセスによりアカウントを乗っ取られ、不正利用されるという事件が起きたのは記憶に新しいところではないかと思います。
利用者である一般消費者や店舗事業者がセキュリティ上の問題に完全に対応することは難しい部分ではありますが、このようなことは今後も十分に発生する可能性があることを肝に銘じておく必要があります。

停電すると利用できない

これは2018年9月の北海道での地震後に発生した大規模停電でも問題となりました。
キャッシュレスでの支払いに慣れて現金を持たなかった場合、このような停電が発生すると全く物が買えなくなるということが判明しました。
日本国内であればいつでも支払ができるというのが、現金決済の強みです。そのため、当面の間は現金決済が完全になくなるということはないでしょう。

サービスの乱立

今は「キャッシュレス決済ブーム」のような状態で、「○○ペイ」「○○PAY」が増殖しています。
これらのサービスを開発している事業者はどこも、本業であるサービスの囲い込みの一環としてやっているのではないかと思います。
そのうち体力のないサービスは淘汰されていく可能性がありますので、将来的にも続いていく可能性の高いものを選択する必要があります。

決済手数料が必要

キャッシュレス決済の利用にあたっては、業者のもつ決済システムを利用させてもらうことになるため、手数料の支払いが必要です。現金決済のみの時には支払う必要のない経費です。
但し、QRコード決済系の事業者では店舗事業者の加入促進として手数料0円キャンペーンを行っているところもあります。

入金サイクルの延長

現金決済との大きな違いは、入金サイクルです。
当然ながら現金決済であれば、その場で現金を回収することができます。
キャッシュレス決済の場合、多くは一定期日で締めて、まとめて入金という形になります。中には翌日払い等で入金サイクルを短くしている決済事業者もありますが、一般的には現金決済より長くなるため、入金が行われるまでの間の支払いについて注意を払う必要があります。

キャッシュレス・消費者還元事業に参加するには?

この「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加するには、単にキャッシュレス決済を導入するだけでなく、この事業の事務局への申請を行い、「加盟店ID」を発行してもらう必要があります。
この申請手続きは既にキャッシュレス決済を導入済みの場合とこれから新規に導入する場合とで異なります。

すでにキャッシュレス決済を導入済みの場合

以前からクレジットカード決済を導入している店舗などが該当します。
この場合は、契約している決済事業者に連絡をして、この事業に参加したい旨を伝えます。そうすると決済事業者の方でこの事業の事務局へ加盟店ID発行の手続きを進めてもらえます。

新規にキャッシュレス決済を導入する場合

この場合は、まず自分の店で導入したいキャッシュレス決済の事業者を選択します。
導入するサービスを決定したら、その事業者にキャッシュレス決済導入の申込を行うとともに、加盟店IDの発行を依頼します。

複数のキャッシュレス決済を導入したい場合

キャッシュレス決済の仕組みは、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコード決済など多様化しています。
できるだけ多くの決済手段に対応することにより、お客様が買い物しやすい環境を整えることができます。
この「キャッシュレス・消費者還元事業」では、1事業者で複数のサービスに申し込むことができます。クレジットカードや電子マネーに対応した決済事業者のサービスを導入するだけでなく、QRコード決済の事業者のサービスを導入することもできます。
このような場合は、先に発行してもらった「加盟店ID」を別の事業者に伝えることで事足ります。

キャッシュレス・消費者還元事業の手続きの状況

10月のサービス開始に向けて、本事業の加盟店ID発行に関する申込が集中しており、この8月下旬の段階では10月の開始時点からの「加盟店」としてのサービス開始は難しい状況になってきています。
伝え聞いた話にはなるのですが、「加盟店ID」の発行に1か月半ほどかかっているようです。
キャッシュレス決済自体の導入についてはそこまでは時間がかからないので、10月のサービス開始時点で「加盟店ID」がもらえないからと言ってあきらめるのではなく、少しでも早めに申込をして手続きをしておきましょう。

まとめ

この「キャッシュレス・消費者還元事業」は、消費者に対して増税以上のポイント還元を行うだけでなく、店舗側にとっても優遇措置が用意されています。
このポイント還元のサービスを自社のお客様にも利用してもらえるよう、この事業を活用してキャッシュレス決済を導入していきましょう。